大転職時代と言われる昨今、転職は普通に見かけるようになりました。
転職は大まかには下記の手順で進めると思います。
- 転職活動をする
- オファーを獲得する
- 退職の手続きをする
- 入社の手続きをする
①については、これまで様々な観点で触れてきました。
②については、個別にエージェントに相談することが大切です。
④は事務手続きなので転職先の指示通りに進めれば良いだけです。
③について、退職の原則はグーグルで検索したら出てきますが事例が少ないように思いました。
そこで、今回は原則に簡単に触れつつ3回退職した筆者の実例を出していきます。
「原則は分かるけれど、打診した後の展開が怖くてなかなか会社に言い出せない」とお悩みの方の参考になればと嬉しいです。
※本ページはプロモーションが含まれています
原則的な退職の進め方
まずは、直属の上長に報告
退職の意向は直属の上長に最初に伝えるのが原則です。
私は、この原則は破ったことがありません。
その結果、どの会社もトラブルなく円満に退職できているのでとても大切な原則だと思います。
直属の上司がよく分からないという場合、「Bad newsを最初に伝える人」にまず伝えましょう。
私も一社目の退職時に直属の上長として思い浮かぶ人が二人いたのですが、普段からコミュニケーションを取っている人にまずは退職の意向を伝えました。
相談ではなく報告。意向は変わらない姿勢を持つ
現職からの退職に関するやりとりを退職交渉という言い方をすることもありますが、交渉するのは退職までのスケジュール(退職日、有給休暇の消化など)です。
退職すること自体は覆せない結論という意識を持ってやりとりしましょう。
また、現職で必要とされている人であれば、引き留められるでしょう。
私も引き留められたことがありましたが、上司の説得は全て聞き流しました。
- 自分がなぜ退職したいと思ったのか
- これからの人生でどんな仕事をしていきたいと思っているのか
上記のような原点・初心を思い返せば説得に心が揺れることはないはずです。
逆に、説得に心が揺らぐようであれば現職に留まるという選択肢もありかもしれません。
自分の人生なので、後で振り返った時に後悔しない選択をしましょう。
迷ったら過去に退職した人に相談
過去に退職した人が身近にいた場合には下記を聞くことで、対策を立てられるかもしれません。
- 退職意向を打ち明けた時の上司の反応
- 退職に至るまでのプロセス
- 退職にあたっての会社からの働きかけ
特に、自分と同じ上長と退職交渉をした人に話を聞くとより参考になると思います。
退職交渉の実例
これまで解説してきた原則を参考にして、私は3回退職交渉をしてきました。
今思うと、もっとうまくやれたなぁという部分は正直あります。
「自分だったらこうするな」という点がもしあれば、ご自身の退職交渉ではそのように進めてみてください。
1社目
当時、私が所属していたのは12~14人くらいのチームでした。
ただ、このチームのリーダーがパワハラ気質ありとして全国的に有名で、私が辞める前の3カ月間くらいで退職者が2人出ていました。
辞める時にもキツいことを言われると、退職した先輩方に言われていたので事前シミュレーションをしっかりするなど準備していました。
また、組織図上の上司は上記のパワハラリーダーでしたが、一人で全員を指導するのはしんどいということで、サブリーダー的な人を何人か置いていました。
このサブリーダーとは、プライベートで遊んだりもしていた仲だったので最初にこの人に退職を打ち明けました。
打ち明ける日に、ランチのお誘いをしてサブリーダーの営業エリアでランチをしました(当時の仕事は医薬品の営業MRでした)。
退職意向を伝えた後、サブリーダーの第一声は、「やっぱりな。急に呼ばれたから辞めるんじゃないかと思ったよ」でした。
そこからは、サブリーダー自身も転職で来たから気持ちはわかる、サブリーダーは今の環境に満足しているのでどうして辞めるのか聞きたい、など和やかな雰囲気で雑談めいたことを話しました。
最後に、パワハラリーダーには自分(サブリーダー)から伝えるとのこと。
ここで、肩の荷が少し降りた気がしました。
そのあと、夕方にパワハラリーダーから電話が。
サブリーダーから聞いたよ。今日の夜飲まないか?
そこから、会社近くの居酒屋でサシ飲みすることになりました。。
居酒屋で激詰めされるかとおもいきや、飲みの趣旨は、
辞めることをもう一度考え直してほしい
という予想外の展開でした。
パワハラリーダー曰く、
前に辞めた二人は、正直どっちでも良かったけれどゆるひこ君は優秀だから辞められると困る。これからもっと教育して伸ばしていく予定だった
とのことでした。
実は、パワハラリーダーの上司もパワハラで有名な人だったので、さすがに辞める人が多すぎて説得するように言われたのではないかと思っています(笑)
その場では、
ちょっと1週間くらい考えてみてほしい
と半強制的に考える時間を与えられました(笑)
その後は、なぜか考えた結果を伝える場を設けられずに気づいたら辞めることは会社に報告されて手続きが進むことになりました。
あのやりとりは何だったのだろうと、今でも不思議に思っています。
そこから、退職日と有給休暇取得の段取りをパワハラリーダーと決めることになったのですが、
退職日ギリギリまで出てきてよ。有給休暇を使いたいのであれば、1週間くらいなら使ってもいいよ
いやいや、有給休暇は取得させてください
うちの状況は分かってるでしょ?退職者がお前で3人になるから、出てもらわないと回らないんだよ。退職は認めたんだからそこはお前が折れろよ
・・・
結局、有休休暇は20日以上残したまま退職することになりました。
振り返ると、連休で取得することにこだわらないなどもう少し交渉すれば有給休暇は消化できたかもしれないと思っています。
2社目
コンサル会社だったので、直属の上長はプロジェクトごとに変わります。
ちなみに、私はプロジェクトとプロジェクトの切れ目にうまい具合に退職意向を伝えることができました。
プロジェクト中だった場合は、プロジェクトマネージャーに最初に伝えるのが良いと思います。
前置きが長くなりましたが、私の場合は入社以来ずっと一緒のプロジェクトだった先輩(後に上司となりました)がいたので、その人に最初に伝えました。
すると、
そっかぁ。最初に俺に言ってくれて感謝だね
といった反応でそこから手続きが進みそうにありませんでした。
前回と同じ作戦(一番身近な上司に伝える)は不発に終わったのです・・(笑)
その先輩に、誰に最初に言うべきなのか相談した結果、コンサルティングの部門長に言うことになりました。
私の想定より二つ役職を飛び越えたところにいくことになりました・・。
当時は、次のプロジェクトの準備期間として毎日オフィスに行っていたので部門長とは毎日顔を合わせていました。
様子を伺って声をかけるタイミングを見ていましたが、小さい会社だったのでいきなり声を掛けたら目立ってしまうのではないか、などとためらっていたのでなかなか行動に移せませんでした。
そこで、メールで「お時間ある時に話したいことがあります」と伝えたところ、すぐにこちらまで来て「ちょっといい?」と呼び出してもらえました。
改めて切り出したところ、ここでも
考え直してほしい
と言われてその場では保留になりました。
そして、今度は再度MTGの場が設定され、考えた結果を再度伝えたところ退職意向は受け入れられました。
その後は、特に交渉する必要なく希望通りの退職日と全ての有給休暇を取得することができました。
この会社は労働環境はブラックだったものの、社員思いの良い会社だったなと思います。
3社目
ここでは社長が直接の上司でした。
結構激しい会社で、退職意向を伝えるとその場で「明日から来なくていい」と言われることも珍しくありませんでした。(むしろその方が多い)
就業規則には2週間前に伝えるように決められていましたが、これを守っていると次の転職先との間に空白の期間が生まれてしまう可能性がありました。(転職先の入社日は先に決まっていました)
ここで、直前に辞めていった先輩から話を聞いて対策を考えました。
その結果、その場で「明日から来なくて良い」と言われても大丈夫なようにスケジュールを逆算して伝えようと決めました。
あとは、社長の機嫌が良いタイミングで切り出すだけです。
社長が同僚と談笑しているところを見計らって、
今、少しお時間良いでしょうか?
と声をかけて社長室へ。
退職することを伝えると、
まじかぁ。でも、しょうがないよな。お前が選んだ人生だもんな
とまさかのすんなり受け入れ。
とはいえ、すぐに辞められるのは厳しいな。有給休暇は取っても良いけれど、〇日までは連絡はつくようにしておいてくれよ
・・!?(有給休暇の意味分かっているのかなこの人・・)
結局、社長からの連絡に怯えながら有給消化中も時々仕事をすることになりました・・。
一応、ベースは休みだったので必要な時だけ仕事をするスタイルで切り抜けました。
ただ、社長から連絡が来る時にはピリついたので、休みの感覚は無かったです・・。
結果的に、当初社長から提示されたよりも早く解放されることになり、テンションが上がったことを覚えています(笑)
退職代行サービスについて
私は、辞めた後も以前の同僚と連絡を取って時々ご飯にいったりして関係が続いています。
そういった関係を構築しにくくなるので、少しくらい気まずい程度だったら退職代行サービスを使わずにしっかりと自身で退職手続きを進めていくべきと考えています。
ただ、下記に当てはまる人は退職代行サービスの利用も検討するべきです。
- 職場環境が劣悪で健康被害がすでに出ている
- 過去に退職した人の中に、退職意向を伝えたことでひどい精神的苦痛を受けた人がいる
- 退職意向を伝えたことを想像するだけで、手が震える、動悸が始まるなどの症状が出てくる
- メンタルが限界に来ており、上司や同僚の顔を見ることができない
退職代行サービスには大きく分けて、下記の3パターンがあります。
- 民間業者
- 弁護士事務所
- 労働組合
①民間業者は、比較的安価に対応してもらえます。ただ、会社に未払い給与の支払いを依頼するなどの交渉はできません。
②弁護士事務所は、労働問題(未払い給与・残業代、損害賠償)などの交渉が必要な際に利用すると良さそうです。
③労働組合は①と②の中間に位置しています。労働組合に一時的に加盟することで、未払い給与・残業代の獲得に向けた交渉を会社としてくれます。費用は弁護士事務所よりも抑えられます。ただ、損害賠償などの法律相談はできません。
運営母体 | 費用 | サービス |
民間業者 | 安 | 退職意向の伝達が主。 会社との交渉は基本的にはしない |
弁護士事務所 | 高 | 未払い給与・残業代や損害賠償など、 法的な支援もフォロー |
労働組合 | 中 | 法的な支援はできないものの、 労働組合が持っている団体交渉権を行使して 会社と各種交渉をしてくれる |
退職代行Jobs(民間業者)
顧問弁護士が監修している退職代行サービスということで、安心感があります。
弁護士監修と銘打っている民間業者は他にもありますが、しっかりと顔と名前を出しているのはここだけです。
また、この顧問弁護士は自身が就業に関する挫折を経験しており、最初の就職先である法律事務所を1年未満で退職しています。
こうした経緯からも、退職希望者の気持ちを汲み取ることができる親身なサービスを展開しているようです。
また、オプションで労働組合への加入もセットが可能です。
なお、先述の通り法律相談などの弁護士業務はできないのでご注意ください。
弁護士法人みやびの退職代行サービス
弁護士事務所のサービスということで法律的なことも含めてフルサポートで対応してもらえます。
未払い給与・残業代を回収したい人、損害賠償請求も検討している人にはオススメです。
費用を上回る金額が回収できる可能性がある場合には積極的に利用したいサービスです。
退職代行ガーディアン(労働組合)
労働組合が母体となっている退職代行サービスです。
ここの代表は、違法な退職代行業者を撃退した過去があり、それをきっかけに「本当に就業者の味方になれる退職代行をしたい」ということでこのサービスを始めたそうです。
労働組合なので、退職希望者の代理人となって会社と交渉することが可能です。
ただ、法律相談はできませんのでご注意ください。
まとめ
ここまでの内容をまとめると下記の通りです。
- 職場での人間関係が劣悪でないのであれば自力で退職交渉
- 職場環境が劣悪ならば、退職代行サービスの利用を検討
自力での退職交渉の参考になればという思いで私の事例を記載していましたが、「自分ならもっとうまくやれる」と思う人はたくさんいるでしょう。
ただ、僕の事例を見て「完璧にやらなくてもいいんだ」と思ってもらって退職交渉を切り出す後押しとなれば幸いです。
また、ブラック企業で苦しんでいる方へ。
とやかく言わずに退職代行サービスを使って逃げてください。
あなたの健康が一番大事です。
この記事をきっかけにブラック企業に苦しめられる人が一人でも減れば嬉しいです。