僕が異業種への転職活動を進めるうえで、作りこみに苦労したのが、
- 志望動機
- 現職での実績をどう見せるか
です。
なぜ異業種に転職したいかというと「今よりも稼ぎたいから」だったので、書類や面接で建前を作りこむのに苦労しました
この時にお世話になっていた転職エージェントからは、何十回もフィードバックを頂きました。
その時の苦労は下記にまとめています。
一回目の異業種転職で苦労しながらもコツをつかむことができたので、二回目の転職の時には転職エージェントからのフィードバックはほとんどなく、書類選考もほぼ通過していました。(書類選考を落ちたのはちょうど募集がクローズしたところだけでした)
結論からお伝えすると、異業種への転職を実現するために大切なことは、下記です。
- 応募する企業の仕事内容を具体的な行動レベルで理解する
- なぜ、自分がその仕事をしたいのかをストーリーで語る
具体的にどうやって準備すれば良いか、この記事を読んだ直後から実践できるように解説していきます。
自分が行きたい企業・業種の仕事を明確に理解する
「明確に」ということがポイントです
自分が行きたい業種・企業について最低でも下記を理解しておく必要があります。
- 業界動向(市場規模の推移、今後の市場環境、各社のシェア、業界の課題など)
- 応募する企業の業界内でのポジショニング、他社との差別化戦略
- 自分が受ける職種の募集経緯
よく、「転職活動は企業研究が大切だ」と言われていますが、それはなぜでしょうか?
なぜ、自分が行きたい企業・業種の仕事を明確にする必要があるのか?
内定を獲得するため、入社ギャップを減らすためです。
転職で内定を獲得するためには、面接官に「自社で活躍するイメージが持てるな」と思ってもらう必要があります。
そのためには、自分をどのように見せていく必要があるのかを考えなければいけません。
仮に、業界や企業の研究をしっかりとしなければどうなるでしょうか?
- 相手が求めていることと違う自分の魅力をアピールすることになる
- 入社後に、自分が求める仕事環境ではなかったことが分かる(入社ギャップ)
つまり、
- 内定を獲得できない
- 入社できたとしても後悔する転職になる
という悲惨な結果につながってしまいます。
そのため、業界・企業研究は転職を成功させるために必須となります。
①業界動向をどうやって調べるか?
ネット検索や書籍で把握することができます。
ネット検索
「○○(自分が行きたい業界) 動向」と検索して、出てきた記事を5つくらい読めば概要は把握できると思います。
また、上場企業が出している有価証券報告書や決算説明会資料にも業界の先行きが掲載されています。
複数の決算関連資料を読めば、各社の成長戦略も分かるので業界が社会からどのように変わっていくことを求められているのかも把握することができます。
自分が行きたい業界の上場企業の決算資料は必ず目を通しておきましょう。
書籍
各社の業界動向が載っている「業界地図」を読めば、ざっくりとした業界動向と競合各社の立ち位置を把握することができます。
この本は各業界の動向がよくまとまっているので、場合によっては転職後も有効に活用することができます。
僕はコンサル会社に入社後にクライアントの業界を勉強するのによく使っていました
また、自分が行く業界に関する書籍が出ているようであれば目を通しておくと良いと思います。
②応募する企業の業界内でのポジショニングなどをどうやって調べるか?
応募する企業が上場企業であれば、決算説明資料などから把握することができます。
もし、上場していなければ企業のホームページを確認してみましょう。
また、最近では自社ホームページ以外でインタビュー記事が作られていることもあります。
そこで自社の成長戦略について語っている記事がある場合もあるので、企業名や代表者名などで検索してみましょう。
③自分が受ける職種の募集経緯をどうやって調べるか?
これは、②と近いのですが企業によっては採用特設ページを作っている場合がありますのでそこで情報を収集できます。
また、転職エージェントを使っているのであれば担当者に聞いてみるというのもアリだと思います。
募集の経緯は集約すると「業容拡大のため」になると思います。
これをもう少し掘り下げて理解しておきましょう。
「業容拡大」といっても、すでに仕事があって業務が回らなくなってきているのか、これから業容拡大をしていくための先行投資として人を採用しようとしているのかでニュアンスは変わってきます。
前者であれば、業務処理能力を求められているでしょうし、後者であれば、新規開拓力を求められているでしょう。
自分がどの方向性でアピールするのが良いのか把握するためにも、この情報は必須です。
志望動機の作り方
意識することは、ストーリー性を出すことです。
- 自分はなぜ最初の仕事に就こうと思ったのか
- 現職でその思いを実現できないと思った経緯
- 応募している業種・職種のどういうところが①の思いを実現できると考えているのか
- その中でも応募する企業は、同業他社と比べてどういう点が良い(①の思いを実現できる)と考えているのか
特に②で実体験を交えて語ることができれば納得感は高まります。
具体的にどう書けば良いか事例を紹介します。
例)医療業界(理学療法士)から保険業界への転職事例
①自分はなぜ最初の仕事に就こうと思ったのか
自分が学生時代にケガをした時に、落ち込んでいた自分を鼓舞してリハビリに向かわせてくれる理学療法士の方がいました。自分もこんな風に「困っている人を元の生活に戻す手助けがしたい」と思い理学療法士になりました。
②現職でその思いを実現できないと思った経緯
最初のうちは、リハビリを通して身体が元に戻っていく手助けができる仕事にやりがいをもって取り組んでいました。一方で、リハビリ中に患者さんから「治療費がかさんでいて生活が苦しい。治った後の生活が不安だ」と言われることがありました。最初は、そういう「人もいるか」とあまり気にしていなかったのですが、こういった人が決して少なくないことに気づきました。また、リハビリを通して症状が改善すればするほど、お金の悩みの深さが大きくなっていくことを感じました。
③応募している業種・職種のどういうところが①の思いを実現できると考えているのか
どうしてそんなことになってしまうのか?困っている人と困っていない人の違いは何だろう?と調べたところ、保険に加入していればこうした悩みは解消されることに行きつきました。自分がお金の知識を身に着けて、保険への加入者を広げていければこういった課題は解決していくのではないかと考え、保険業界を志望しています。
④その中でも応募する企業は、同業他社と比べてどういう点が良い(①の思いを実現できる)と考えているのか
保険業界の中でも、御社の行動指針である「顧客に本当に必要な保険を必要なだけ掛ける提案をする」に魅力を感じているため御社を志望しています。私は、お客様が納得できる商品を選んでもらうような営業をしたいと考えており、御社の方針とマッチしていると考えています。
ストーリーが思いつかない場合にはどうすれば良いか
業務内容があまりにもかけ離れている場合、ストーリーを作ることが難しいと感じることもあるでしょう。
僕の場合は、将来的な年収アップが転職を考えた主な理由だったので、このストーリーを作ることに苦労しました。
そんな時には、現在の仕事・業務範囲で解決できなかったお客様の課題を探すことから始めてみましょう。
先ほどの例で挙げた、理学療法士が保険業界に入るというのは初見では全く関連性が見つけられないので志望動機を作りこむのに苦労する転職の一つです。
しかし、現在の仕事・業務範囲で解決できなかったお客様の課題を探すことで、自分なりのストーリーを作ることができました。
現職での実績の見せ方
定性的・定量的な実績を、相手が求める内容に合わせて加工して示します。
応募する企業が求めている人材像に自分は近いということを理解してもらうことがゴールとなります。
例)現職が営業職の場合
定量的な実績
- 売上
- 利益
- 目標達成率
- 新規開拓件数(新商品納入件数、新規顧客口座開設数 など)
- 訪問件数
- 全国(地域)の順位 など
定性的な実績
- 上記の実績を出すために工夫したこと
- 顧客との人間関係構築に関するエピソード
- チームの生産性を改善させた施策 など
提示する内容
別業種の営業職を志望する場合、営業実績とそれを実現させるために心がけていたこと、象徴的なエピソードなどを示します。
営業職でない職種を志望する場合、定量的な実績だけを強調しても響かない可能性が高いです。先方が求める人材像をエージェントに聞いて、そういった人材に見えるようなエピソードを盛り込みましょう。
転職活動で語れる実績が無い場合はどうすれば良いか?
どういった業界を目指すのか、転職を検討している理由などにもよります。
健康に影響が出ているようなブラック企業に勤めていて、少しでも早く抜け出したいという状況であれば、今あるものを使って何とか内定を取る必要があります。
もし、そういった差し迫った理由が無いのであれば、今の会社でもう少し頑張ってみるというのも選択肢となります。
今の会社で誰にでも誇れる実績を出すことができれば、それだけ次のキャリアの選択肢が広がります。
大切なのは、転職後に自分がどうなりたいかです。
自分が思い描く将来の姿を描いたうえで、今転職するべきか、もう少し今の職場で実績を積んだ方が良いか判断しましょう。
行きたい企業からの内定が出た時に考えること
異業種への転職は、入社当初は結構苦労します。
今の知識が全く活かせない会社に入社することになった場合、新入社員時代に逆戻りするようなものです。
場合によっては、業界未経験でも即戦力となることを求められることもあります。
そういったプレッシャーがかかった状態でも自分は大丈夫か、今の職場を辞めることで本当に後悔しないかを考えたうえで慎重に判断しましょう。